肩こりは日本国民の女性に最も多い体の悩みと言われています。
平成28年の厚生労働省の調査では、肩こり・肩の痛みの有愁訴率は人口1000人に対して117.5という結果があります。
これは、日本の女性の10人に1人以上が肩こりで悩んでいるということです。
ちなみに、男性の肩こりの有愁訴率は57で、女性の半分以下です。
この結果の差は頭部の重さを支えるために必要な筋量や骨格のサイズやボリュームの差から来るものと考えられます。
なぜ肩こりが発生するの?
肩こりが発生する要因は多岐に渡ります。
仕事や家事などの生活習慣が大きく影響しますが、当院では肩こりが発生する根本的な原因は姿勢にあると考えています。
完璧な姿勢というものは存在しませんが、理想的な姿勢というものは存在します。
理想的な姿勢とは、首や肩周辺の筋肉や関節にかかる負担が最も少なくなるという姿勢です。
あなたの姿勢を横から見て頭部が肩の真上に位置していれば、首や肩にかかる負担は実際の頭部の重量の等倍(1倍)です。
体型や体重にもよりますが、女性の場合ですと、頭部の重さは大体4~5kgです。
これは、ボウリングのボールぐらいの重さです。
この重さの等倍(1倍)ですから、朝起きてから寝るまでの間、常に首肩周辺の筋肉や関節には4~5kgほどの負荷がかかっています。
しかし、あなたの姿勢を横から見たときに頭部の位置が肩の真上から大きく外れている場合、首肩周辺にかかる負担は2倍以上になると言われています。
頭の位置がちょっと変わるくらいで、かかる負担が2倍以上と言われてもあまりピンと来ないかもしれません。
この現象について簡単に説明します。
ボウリングのボールを胸の前で持ったときと、少し前方に離して持ったときとの違いに似ています。
ボウリングのボールを体の中心近くで持ったときよりも、ボールを体の中心から離して持ったときの方が、ボールを持っている腕にかかる負担が強くなったように感じた経験はありませんか?
頭部の位置が前方にずれた姿勢不良の場合は、これと同じ現象が首から上で起きています。
そのため、姿勢の歪みがある限り肩こりを発生させる物理的なストレスが半永久的に生み出され続けます。
自覚症状のある部分をストレッチしたり、マッサージしたりするとコリ感や緊張感は緩和します。
しかしこれは一時的、短期的な変化であり肩こりそのもののメカニズムを解消しているわけではないので、早ければ数十分、遅くても翌日には元に戻ってしまいます。
それどころか表面的な自覚症状だけを追えば追うほど姿勢のアンバランスは強くなります。
今まで負担を一旦に請け負っていた首肩周辺の組織を刺激して短期的な緩和を目指すのではなく、姿勢=全体バランスを均一化し、肩周辺に集中していた負担を分散させて肩こりが発生する根本的な原因の解消を目指しましょう。