ぎっくり腰は寝てれば良くなる?

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ぎっくり腰の初動対応は安静と固定

ぎっくり腰と呼ばれる急性腰痛が発生した場合、初動対応は安静と固定になります。

安静とは無理をせずに楽な姿勢で患部を回復させること。

固定とは腰痛ベルトやコルセットなどを使って患部を固定圧迫してあげること。

ぎっくり腰のさらなる悪化や組織損傷の進行を防ぐためにとても大事な対応です。

安静が必要な期間はその人のコンディションやぎっくり腰の程度にもよりますが、少なく見ても三日から四日、できれば一週間程度は負荷がかかるような仕事や行事は可能な限り避けましょう。

固定も同様で、最も辛い時期は大体三日から四日程度ですが、状態が安定して物理的なフォローが必要なくなるまでは固定しておいた方が間違いないと言えます。

大半の場合は二週間程度はベルトやコルセットを必要に応じて着用していただくことになります。

最も症状が強い時期は安静時を除く常時着用していただき、だんだん落ち着いていたら負荷のかかる作業や習慣の時にだけ着用していただくというような具合です。

この安静と固定はとてもシンプルですが非常に大事なアプローチです。

転んで膝を擦りむいた後に、何度も何度も膝を曲げ伸ばししてみたり、患部を指でいじくっていてはいつまで経ってもカサブタができませんよね。

これと同じことで、一番最初の段階ではまず負傷の修復を行うために安静と固定を優先します。

よほど重症なものでなければ四日から七日程度で自然に痛みが楽になり、その後慢性的な痛みや重さになっていきます。

痛みそのものがスッと引いて何も無くなったかのように感じることもありますが、ぎっくり腰が起こった後の患部周辺は生理反応として異常な筋肉の緊張を起こし、その影響で慢性的な血流低下状態に移行する傾向があります。

痛みが消えたら一安心!というわけではないのでこの点はくれぐれも留意してください。

そもそもぎっくり腰とは何なのか

そもそもぎっくり腰とは何なのでしょうか。

一般的にぎっくり腰とは、急性的に発生した確定診断を伴わない腰痛症を指すことが多いようです。

確定診断を伴わない、とは椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの病名を医師に診断されないものということです。

急に腰が痛くなって病院に行ってレントゲンやMRIを撮ってもらったけど、骨や関節に異常はなく「ぎっくり腰でしょう」と言われた経験はありますか?

それが確定診断を伴わない急性腰痛です。

ちなみに急性腰痛には筋肉や骨の問題だけでなく、内臓や他の病気から起こるものがあります。

そのような二次的な急性腰痛はレントゲン等ではなく血液検査などの内科的なチェックが必要になります。

筋肉骨格の病変がなく、血液検査等でも問題がないとされた場合がいわゆるぎっくり腰という区分になります。

ぎっくり腰は筋肉や筋膜に軽微な損傷が起こったという説や、神経系の異常が起こったという説、発痛物質による一時的な痛みである説など様々な原因があると言われています。

ぎっくり腰の全てを検証できるわけではありませんが「降って湧いたような、偶発的にたまたま起こったぎっくり腰」というケースは私の臨床経験上あまり多くないと感じます。

それまでの人生で全く一度も腰痛がなく、健康診断などでも大きな異常がないのにいきなりぎっくり腰になった方よりも、元々昔から腰痛はあって、それが少し楽になったりまた悪くなったりを繰り返して……という方がある日強烈なぎっくり腰になってお見えになることが多いです。

当院は『ぎっくり腰とは慢性腰痛の症状が強く現れている状態である』という考え方をしています。

ご本人がお気づきになっていなかったり、忘れていたりしてるだけで、しっかりお尋ねして検査すればぎっくり腰に至る背景や原因があるはずなのです。

もちろんごくごく稀に、全く過去に腰痛のない方が何の因果関係もなくぎっくり腰のような症状になってお見えになることもあります。

ですがその場合はぎっくり腰だけでなく尿管結石などの別の問題も疑わなくてはなりません。一度先に病院を受診した方がいいでしょう。

「腰に負荷をかけすぎたから」だとか「運動不足だから」だとかぎっくり腰になってしまった理由はいくつも考えられます。

しかし大切なことは原因解明とメカニズムの解体です。

なぜ腰に負荷がかかってしまうのか、どうすれば腰の負荷を最小限にできるのか。

運動不足だとしたら現実的にどのような対応をすれば解消できるのか。

ここまで到達しない限り、ぎっくり腰はまたしばらくして再発する可能性があります。

多くの場合、時々やってくるぎっくり腰は加齢と共に状態が悪化していきます。

ぎっくり腰なんて寝てれば良くなるから……というのはあながち間違いではありません。

ただしよくなるのは表面的な痛みや運動制限であり、その根っこの部分にある慢性的な腰の問題は寝ていても変わることはありません。

痛みの消失がゴールではない理由

ぎっくり腰で当院にお見えになった方には「痛みの緩和や消失は比較的早い段階で起こる」旨を最初にお伝えしています。

そして同時に「痛みが取れたことは腰の問題が解決したからではない」旨もお伝えしています。

安静と固定を行い、適切な補助施術を行うと早ければ一週間、大体は二週間程度でぎっくり腰の痛みは消失します。

しかし、股関節や骨盤周辺の筋力や可動性は低下したままです。

強烈な痛みという体の異常を知らせる赤ランプが消えたので生活を通常運行に戻しがちですが、体や腰を支えている部位はまだ機能が戻りきっていません。

そうするとぎっくり腰の再発リスクが大きく上がるだけでなく、新たな慢性腰痛の原因にもなってしまいます。

ぎっくり腰も慢性腰痛も痛みの消失はゴールではありません。

痛みが全く、あるいはほとんど出なくなっていても体の機能に問題が残っていればそれは再発リスク悪化リスクになります。

逆に、体の機能が正常になっていれば痛みの方が若干遅れて良くなる場合もあります。

とにかくぎっくり腰の痛みだけをどうにかしたい!というならば痛み止めを飲んで寝ておくのが一番効果的で間違いないです。

ですが『頻回発生するぎっくり腰』は腰が本格的に悪くなっていく一番危険なサインです。

「三日位休めば良くなるから……」と言ってどうにか乗り越えるのは限界があります。

無理を通して椎間板や脊柱管が本格的に損傷されると完全な回復は難しくなります。

一番ひどい時期が終わってからが本当に腰をよくしていく取り組みの始まりです。

完全に腰がパンクしてしまう前に何かしらのケアを始めましょう。

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