ゴールデンウィークは旅行に出かける方が多くなる時期です。
飛行機や新幹線など、長時間の移動で椅子に座りっぱなしでいるとエコノミークラス症候群という体の異変が起こる可能性が高くなります。
初期症状は足のむくみや倦怠感などですが、重症化すると血液循環に影響して命の危機にもつながる問題です。
今回のコラムではエコノミークラス症候群の説明とその予防法についてご紹介します。
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目次
エコノミークラス症候群って何?
エコノミークラス症候群とは、飛行機搭乗などで座席に長時間座っていることによって生じる、血液循環の問題を伴う症候群です。
特に長距離の国際フライトなどでよく見られます。
一般的に、エコノミークラスの座席は他のクラスよりも広さが限られており、移動が制限されることが多いため、この症候群のリスクが高まると言われています。
動かずにじっと座っていることで起こる血液循環の問題の名前で、飛行機のエコノミークラスなど特に身動きを取りづらい環境でよく起こるとされています。
後の段落にも書きますが、乗り物に乗っているから起こるわけではなく、長時間のデスクワークでも起こる可能性があります。
エコノミークラス症候群が起こる理由は?
この症候群の主な原因は、長時間同じ姿勢で座っていることによって下半身の血流が滞ることだと考えられています。
特に、長時間のフライト中、足が座席の下に閉じ込められることで、静脈血栓症(DVT)と呼ばれる血液凝固のリスクが高まります。
静脈血栓症は血液が静脈内で凝固し、血栓が形成される状態です。
最悪の場合、この血栓が肺塞栓症を引き起こすことがあります。
肺塞栓症ってどんな症状?
肺塞栓症は血栓が静脈から肺動脈に移動し、肺の血管を閉塞することによって引き起こされる病気です。
この血栓は体の他の部位(特に下肢の深部静脈)で形成されます。
この血栓が血流によって肺に運ばれて肺動脈の一部を閉塞します。
肺塞栓症の症状には、突然の胸痛、息切れ、呼吸困難、咳、不整脈、脱力感などが含まれます。
症状の程度は血栓の大きさや場所によって異なりますが、重症の場合は生命を脅かすことがあります。
エコノミークラス症候群の予防方法は?
エコノミークラス症候群には予防方法があります。
定期的な運動をする
定期的に座席や椅子から立ち上がり、座席の周りを歩くなど、運動をすることで血液の循環を促進します。
日常的な動作でも筋肉が伸び縮みすることで血流に対してポンプ機能が発生します。
1時間に1回程度は立ち上がり、軽く動くことが重要です。
サポートストッキングを着用する
圧迫ストッキングなどのサポートストッキングを着用することで、血液の循環を助け肺塞栓症のリスクを軽減できます。
下肢静脈瘤など、血管や血液の問題で起こる問題には圧迫ストッキングやサポートストッキングは非常に有効です。
慢性的に足のむくみや血流障害がある方は、フライトなど長時間の移動時だけでなく普段からサポートストッキングを使ってみましょう。
今は色々な商品が出ているので、ドラッグストアなどでも入手が可能です。
適切な水分を摂取する
十分な水分を摂取し、脱水を防ぐことが重要です。
水分補給はエコノミークラス症候群の予防としては軽視されがちですが、非常に重要な要素だと考えます。
脱水状態になると血管系や循環器への負担が非常に大きくなるからです。
体が脱水症状になると、エコノミークラス症候群だけでなく、腰痛や頭痛などの問題は頻繁に起こるようになります。
脱水というと炎天下での作業や運動を連想しますが、必ずしもそうとは限りません。
乾燥した室内、機内で何時間もじっとしていると体の水分はどんどん奪われていきます。
デスクワークでも長距離移動中でもこまめな水分補給を行いましょう。
適切な姿勢を保つ
座席で適切な姿勢を保ち、脚を定期的に伸ばして運動を行うことが重要です。
座った状態でも足の運動は可能ですので、膝を伸ばしたり腿を上げたり、小さな動きでも良いので運動を行いましょう。
鼠蹊部(足の付け根)を圧迫するような後ろのもたれかかった姿勢や腹部を圧迫するような首を前に突き出した姿勢は血流を圧迫する可能性があるため好ましくありません。
背筋を伸ばして深く座った状態がいい姿勢とされていますが、エコノミークラス症候群ではずっと同じ姿勢でいることがそもそもよくないので、良い姿勢を保つ以上にこまめに動くことにフォーカスしましょう。
デスクワークでエコノミー症候群になる?
エコノミークラス症候群はデスクワーク中にも発生する可能性があります。
デスクワークでは、長時間同じ姿勢で座っていることが一般的であり、これが血液循環を妨げ、筋肉の衰弱や静脈血栓症のリスクを増加させる要因となります。
特にデスクワークでは足が座席の下に置かれたり、一定のポジションに固定されることが多いため、血液の循環が悪化しやすくなります。
血流循環に重要なふくらはぎを鍛える運動
立ち上がったり歩いたりすることで血流循環の回復が期待できます。
血流循環に特に重要と言われているのはふくらはぎの筋肉です。
ふくらはぎの筋肉は血流を心臓に返すための筋ポンプ作用が非常に強く、第二の心臓とも呼ばれます。
エコノミークラス症候群の長期的な予防のためにふくらはぎを鍛えましょう。
オススメの運動はつま先立ちです。
真っ直ぐ立った状態からつま先立ちになる動作を繰り返すことでふくらはぎの筋肉が強化されます。
ふくらはぎの筋量が増えることで血流循環を筋ポンプの能力が上がります。
まとめ
エコノミークラス症候群は長時間のフライトなどで椅子に座りっぱなしになることで起こる血流障害や血栓による循環障害のことです。
長時間同じ姿勢で座っていればデスクワークでも同じことが起こります。
定期的に動くことが重要で、立ち上がったり少し歩く程度でも血流循環は回復します。
さらに脱水状態になるとリスクが大きく上がるので水分補給もこまめに行いましょう。
デスクワークで働かれている方には、軽度のエコノミークラス症候群は気づかないだけでしばしば起こっていると考えられます。
楽しい旅行の道中だけでなく、普段の仕事中も1時間に1回程度は席から立ち上がり軽く体を動かしましょう。