姿勢不良が発生する原因はパソコンやスマートフォンの多用、テレビゲーム、デスクワーク、家事や育児など人によって様々です。
今回のコラムはなぜ姿勢が悪くなるのか?ではなくどのようにして、どのような順番で姿勢が悪くなるかについて考察します。
以下に挙げる例はあくまでもよく発生する例であり、全ての姿勢不良が下記のような順番で起こるわけではありません。
この点をご承知おきくださいね。
〜新百合ヶ丘、栗平、稲城若葉台で首肩の痛み、腰痛、頭痛の整体なら稲城ひらお整体院へ〜
多くの姿勢不良は頭部前方変位から始まる
多くの姿勢不良は頭部が前方に突き出てしまう頭部前方変位から起こると言われています。
これは、ほとんどの人間が視覚優位タイプと言って目から入ってくる情報を重視しているためだと考えられています。
視野視覚の確保は生命の安全のための最優先課題です。
目から入ってくる情報をより多く確保するために、人間の頭部は目で見ている方に頭部を近づける修正があります。
仕事でも遊びでも目から入ってくる視覚情報を確保するために、頭部が対象に近づいていきます。
ノートパソコンの使用や勉強、テレビゲームなどはその最たる例でしょう。
この状態が何度も繰り返されると体がこの姿勢を学習し、この姿勢で全体バランスが安定するように少しずつ全体の変化を始めていきます。
ちなみに頭部の位置は前に出てなくて腰だけが前に出ているタイプの人もいますが、これは頭部の位置異常を補正するために起きている一時的な反り腰だと考えられます。
頭だけを突き出した姿勢はスマホ操作など日常生活の習慣動作を考えれば発生してもおかしくありません。
しかし、腰だけが前に突き出る動作というのはあまり多くありません。
もう少し姿勢が悪くなっていくと次の段落で紹介する例のように、頭部前方変位と腰部前方変位が併発するようになります。
前に出た頭を支えるために骨盤も前に出る
頭部の重さは男性なら5~6キログラム、女性でも4~5キログラムになると言われています。
もし頭部が理想的な重心線上に位置していた場合でも、首や肩には5キロ前後の負荷が立っているだけでかかり続けます。
そこで頭部が前方に1インチずれるだけで、実際の首や肩にかかる負荷は2倍以上に増えるというデータがあります。
首や肩の筋肉は薄く小さなものが多く、10キロ近い負荷を常時支えていることができません。
そうすると体は骨盤を前方に押し出すことで重心線そのものを前方へと送り、どうにか頭を支えようとするのです。
頭が前に出る姿勢が習慣化すると、これを補正するために腰部も前方へと変位します。
まず最初に頭が前に出た姿勢不良が起こり、続いて腰が反ったり、骨盤が後ろに倒れるような姿勢になる例が多いのです。
最後は背骨の変形と股関節や膝の角度へ
頭部と骨盤が前方に突き出た姿勢が続くと、今度は股関節の角度と膝の角度が変化してきます。
股関節や膝が伸び切らなくなり、真っ直ぐ立っているはずなのに膝が曲がってきたりO脚が目立ってきます。
この段階までくると全身のバランスを保つために背骨そのものがS字からC字に近くなります。
そして、ただ単に形が変わるだけではなく、かかり続ける負荷に耐えるために変形して固定化されてゆきます。
ここまで想像していただけましたか?
姿勢不良は段階を経て、いわゆるお年寄りの姿勢になるのです。
頭部が前に出る→首や肩に負荷がかかる→補正のために骨盤が前に出る→腰部や腹部に負荷がかかる→補正のために股関節や膝の角度が変わる→全体のバランスを安定させるために背骨の変形が始まる
先天的な骨格の奇形がある、特定のスポーツを本格的に行っている、特定の動作を繰り返す職業に従事しているなどの例外もありますが、多くの方はこのような順番で姿勢が悪くなると言われています。
このプロセスを老化に伴う姿勢の退行変性と言います。
背中が曲がって杖が必要になったお年寄りは、ある日突然にそうなったわけではありません。
誰だって若い頃は背中が曲がっていなかったはずです。
加齢と共に首が前に出て、腰が前に出て、膝や股関節が伸び切らなくなって、背骨が変形して、その姿勢で固定してしまったのです。
加齢による姿勢の退行は自然にはよくなりません。
何かしらの対策、つまりアンチエイジングをしなければ加齢と共に姿勢は退化していきます。
筋トレであったり、ヨガであったり、整体やカイロプラクティックであったり、アンチエイジングの選択肢は色々あります。
「歳を取ったら背中が曲がるもの」というのは生理的な真実だと思います。
ですが、老化による変形をゆるやかにしたり、可能な限り小さくすることは可能です。
昔に比べてシルエットが丸くなってきたな……と思ったらアンチエイジングのはじめどきだと思います。
健康寿命を伸ばし、何歳になってもハツラツと暮らしていくためにも、姿勢が悪くなる前にケアを始めましょう。