肩こりは現代日本の国民病の一つと言われています。
ひどくなって頭痛まで出てくるとマッサージに行くと言う人も多いですよね。
ですが「肩こりは揉んではいけない」という説もあります。
私も「肩こりは揉んではいけない」派です。
リラクゼーションやマッサージを否定するつもりはありません。
リフレッシュやストレス発散に非常に効果があるので、いいものだと思っています。
ただし「肩こりを構造的に解消する」と言う観点から見ると、肩こりはやっぱり揉んではいけないと思うのです。
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肩こりは揉んではいけない?
肩こりを緩和するためにマッサージやリラクゼーションを定期的に受けにいくという方がいます。
じっくりとマッサージやリラクゼーションを受けてリフレッシュすることはストレス解放やメンタルケアにもなります。
ですが、多くの場合マッサージやリラクゼーションを目的とした施術は肩こりそのものの解消までには至りません。
施術を行う頻度や期間が十分でなく、本当に辛いときだけ一時的にスポットで行っているからというのが主な理由ですが、リラクゼーション的なアプローチで肩こりが根本的に良くならないのにはもう一つ大きな理由があると言えます。
それは、慰安的なマッサージやリラクゼーションでは痛みやコリ感が強く出ている部分を重点的に揉んだり伸ばしたりしてしまう点です。
この問題は本質的な矛盾を抱えています。
もしもあなたが肩こりを感じていて、辛さや苦しさを緩和するためにマッサージやリラクゼーションを受けに行ったときに、一番コリや痛みを感じている部分をほとんど触られなかったとしたらどんな気分になるでしょうか。
「このへんが辛くてきてるのにどうして一番辛い部分をやってくれないんだろう」とガッカリされるのではないかと思います。
コリや痛みを取り除くためにわざわざ時間とお金を投資してマッサージやリラクゼーションを受けに行っているのですから、当然と言えます。
多くの方は過去の経験から痛みやコリが強い部分をマッサージしたりほぐしたりすると一時的にでも辛さや苦しさが和らぐということを知っています。
なので、リラクゼーションやマッサージには一番辛さや苦しさがある部分への刺激を求めます。
確かに、自覚症状のある部分を揉んだりマッサージしたりすると一時的には辛さや苦しさが和らぎます。
ですがそれはあくまでも一時的なものです。
「一時的でもいいから楽になりたいんだ!」と思われる方もいるかもしれませんね。
一時的に楽になるだけならばそれはそれで意味があると私も思います。
ですが多くの場合、辛さや苦しさを感じる部分を丁寧に揉んだりマッサージしたりすればするほど、根本的な問題は根が深くなっていく傾向にあるのです。
肩こりは常に引き伸ばされている
一時的な緩和を目的としたマッサージやもみほぐしがどうして肩こりの根本的な部分を悪化させるのでしょうか。
インターネットで調べてみても「肩こりは僧帽筋の緊張によるもの」という説が大半を占めています。
僧帽筋という筋肉は人間の背中と首の筋肉の一つで、肩こりや首の痛みの原因として紹介されています。
僧帽筋は長時間同じ姿勢を保つことで緊張しやすくなります。
また、ストレスや過度の筋肉の使用も僧帽筋の緊張を引き起こす可能性があります。
多くの肩こりは僧帽筋がずっと緊張しているせいで起こると考えられています。
この点に関して反論したい訳ではありません。
問題は「なぜ僧帽筋が常に緊張してしまうのか」ということに焦点が当てられていないところにあります。
まず『同じ姿勢を保ち続けたり、姿勢が悪くなってくると僧帽筋が緊張する』という認識は少し捉え方が大雑把ではないかと私は思います。
- デスクワークなどで同じ姿勢で居続けると、姿勢を維持する筋肉群が疲弊してきて姿勢が崩れてくる。
- 姿勢が崩れると呼吸器や消化器にストレスがかかり生理機能が低下する。
- この状態を避けるために僧帽筋がロープのように引き伸ばされて緊張することで頭と首を支える。
- なので僧帽筋が緊張する。
このような考えの方が認識が適切であるように感じます。
ちなみに僧帽筋が緊張すると肩がすくんで肩をいからせたような恰好になります。
「パソコン仕事が続いて、肩が上がっちゃって降りないよ〜」などとは冗談めかして言うかもしれませんが、慢性的な肩こりでお悩みの方で肩が吊り上がっている人って実はそれほど多くないと思います。
それよりも、立っていても座っていても頭部の位置が本来あるべき位置よりも前方に固定されてしまっている人の方が圧倒的に多いように思います。
話を本来の肩こりに戻しましょう。
上記のようなプロセスでは、僧帽筋は常に引き伸ばされている状態にあります。
表面的にはコリや痛みを出している肩の筋肉ですが、実質的には支えのロープとしての役目を持っています。
支えのロープである僧帽筋を長時間揉んだりマッサージすると、僧帽筋の緊張が解けて本来の役目が果たせなくなります。
姿勢を保つために緊張していた僧帽筋が局所的に緩んでしまうと姿勢バランスが悪化します。
そうすると次の段階では僧帽筋が支えのロープの役割を果たすために再び緊張するのです。
以前よりも姿勢バランスは悪くなっているので、より一層強い緊張を起こします。
『肩こりを起こす(と言われている)筋肉は多くの場合、収縮による緊張ではなく引き伸ばされることによる二次的な緊張状態に』と言う考えに基づき、肩こりの多くは姿勢を支えるために起きているので、肩こりを感じる部分ばかり揉んではいけないという結論に至りました。
構造的に肩こりを解消するには
コリや痛みが気になる部分をゴリゴリ揉んだりせずに、肩こりを構造的に解消するにはどうしたら良いでしょうか。
一番シンプルでわかりやすいのは、縮んで問題を起こしている部分と引き伸ばされて問題を起こしている部分とに体の部位を分けて考えるやり方だと思います。
縮んでいる部分へのアプローチ
前の段落で、肩こりを起こす(と言われている)僧帽筋はほとんどの場合引き伸ばされて二次的な緊張を起こしているという説をご紹介しました。
これとは逆に、縮んでしまって一次的に緊張している筋肉も存在します。
例えば、大胸筋や前鋸筋など肋骨から胸回りの前から横にかけて走る筋肉は多くの場合で常に縮んで緊張しています。
腹筋や肩の前側の筋肉も同じように縮んでいます。
このように常に縮んで緊張してしまっている筋肉は揉んだりマッサージをしてもOKです。
もちろん筋肉や筋膜を痛めるくらいの長時間や強刺激はダメですが、緩めたりほぐしたり伸ばしてあげることで姿勢バランスが理想的な状態に戻ります。
引き伸ばされている部分へのアプローチ
僧帽筋のように常に引き伸ばされて二次的に緊張してしまっている筋肉は緩めたりほぐしたりするのではなく機能を回復させるアプローチが必要です。
それらは多くの場合、マッサージやリラクゼーションではなく、より矯正的なアプローチや本人に運動してもらうエクササイズになります。
例えば、シュラッグと呼ばれる肩をすくめるような動きの筋力トレーニングは肩こりのセルフケアエクササイズとしても有名です。
シュラッグは僧帽筋を緊張させたり脱力させたりを繰り返して、運動させるプログラムです。
一方のマッサージやリラクゼーションはこれの逆の取り組みをおこなっているのです。それも延々30分から60分も!
他にもMETやカウンターストレインなどと呼ばれる、受ける方に協力してもらって小さな運動を起こし、それを起点に調整すると言うやり方もあります。
これらの手法は引き伸ばされている部分へのアプローチとして有効性が高いと考えられます。
まとめ
肩こりを揉んではいけない理由をまとめると
- コリを感じる部分は揉むと余計に緊張する場合が多いから
- 揉んだり伸ばしたりして欲しいのはコリを感じる部分ではなく縮んだ部分
- 引き伸ばされた筋肉は緩めるのではなく機能を正常化させることが大事
この3点です。
もちろん、肩こりは筋肉や関節の問題だけでは起こりません。
胃腸の機能だったりストレスだったり目からの刺激だったり様々な要因が絡み合って発生します。
ですが、まず最初に筋肉や関節のバランスに目を向ける方がわかりやすく結果も出やすいです。
もしあなたが慢性的な肩こりに悩んでいて、ときどきリラクゼーションやマッサージにガス抜きにいくのでしたら、ぜひ一度体のバランスを調べてみてはいかがでしょう。
どこが縮んでいて、どこが引き伸ばされているか。
どの部分を緩めて、どの部分を強くするか。
この要素を知っているだけでも慢性的な肩こりとの付き合い方が全然変わりますよ!